
低酸素トレーニングを自宅で試したくても、「トレーニングマスクを買えばできるのか」「大きな設備まで必要なのか」が分かりにくいところです。結論からいうと、自宅でも低酸素環境を作る方法はありますが、マスク単体で使う製品と、低酸素ジェネレーターにつないで使うマスクは仕組みが異なります。
低酸素トレーニングは、通常より酸素の少ない空気を吸いながら運動する方法です。自宅向けには、低酸素の空気を作るジェネレーターからマスクへ送る方式のほか、テントなどに低酸素環境を作る方式もあります。
この記事では、検索すると見つかる「低酸素マスク」の違い、自宅で低酸素環境を作るときに確認したい機器、購入・レンタル・施設利用の考え方まで整理します。商品名だけで決めず、まず何を変える器具なのかを見ていきましょう。
低酸素トレーニングは自宅でもできる?低酸素環境を作る方法がある
自宅でも、低酸素ジェネレーターなどを使って通常より酸素濃度の低い空気を作る方法があります。常圧低酸素と呼ばれる方式では、気圧を大きく変えずに吸い込む空気の酸素濃度を調整します。
家庭向けの機器には、低酸素の空気をホースで専用マスクへ送るものや、テントなどの限られた空間へ送るものがあります。必要な機器や接続方法は製品によって違うため、「低酸素マスクを1枚買えば完成」と考えるより、システム全体を見る方が判断しやすくなります。
「低酸素マスク」を買う前に確認|同じ名前でも仕組みが違う
「低酸素トレーニングマスク」「高地トレーニングマスク」などの名前で探すと、見た目の似た製品が出てきます。ここで確認したいのは、マスク自体で呼吸に抵抗をかけるのか、別の機器で作った低酸素の空気を吸うためのマスクなのかという点です。
マスク単体で使うタイプは、呼吸に抵抗をかける
マスク単体で使うトレーニング用品には、バルブなどで空気の通りを調整し、吸ったり吐いたりするときの抵抗を増やすタイプがあります。装着すると呼吸が重く感じられるため、「高地のような負荷」と説明されることもあります。
ただし、この仕組みは吸う空気の酸素濃度を機械で設定する方法とは別です。低酸素環境を作りたい人は、呼吸抵抗の強さではなく、酸素濃度を調整する機器があるかを確認してください。
ジェネレーターにつなぐマスクは、低酸素の空気を吸うために使う
もう一方は、低酸素ジェネレーターで作った空気を、バッファバッグやホースを介してマスクへ送る方式です。このタイプでは、低酸素状態を作る中心はマスクではなくジェネレーターです。
マスクは送られてきた空気を吸うための接続部分なので、単体で購入しても同じ使い方はできません。製品ページを見るときは、対応するジェネレーターや接続部品が必要かまで確認します。
「標高○m相当」という表示だけで判断しない
トレーニングマスクには「標高○m相当」といった段階表示が付く製品があります。ただ、その数字が何を表しているのかは製品ごとに確認が必要です。
本当に知りたいのが「吸う空気の酸素濃度を下げられるか」であれば、標高表示だけではなく、酸素濃度の設定方法、ジェネレーターの有無、マスクへの供給方法を見ると区別しやすくなります。
低酸素マスクだけで高地トレーニングを代用できる?
呼吸抵抗を加えるトレーニングマスクを、高地や酸素濃度を調整した低酸素環境と同じものとして扱うのは避けた方がよいでしょう。研究では、呼吸がきつく感じられることと、高地で起こる適応が同じとは限らないことが示されています。
トレーニングマスクは、高地トレーニングと同じ仕組みではない
Elevation Training Maskを使った6週間の研究では、マスクを使ったグループだけにヘモグロビンやヘマトクリットの変化が起きたとは確認されませんでした。これらは、血液が酸素を運ぶ働きと関係する指標です。
別の研究でも、空気の流れを制限するマスクでは、高地や酸素濃度を調整した環境と同じ低酸素状態を再現するものではないと報告されています。マスクを使う目的は、低酸素ジェネレーターを使う場合と分けて考える方が整理しやすいです。
酸素飽和度が下がることだけで、高地と同じとは判断できない
研究によっては、強度の高い運動中にトレーニングマスクを使うと、SpO₂が軽く低下した例もあります。SpO₂は、血液中のヘモグロビンがどの程度酸素と結びついているかを見る指標です。
ただし、数値が下がったという一点だけで、吸気酸素濃度を調整した低酸素ルームや実際の高地と同じ条件になったとは判断できません。「息苦しい」「SpO₂が下がった」ではなく、どの仕組みで低酸素を作っているかを基準に見ます。
自宅で低酸素環境を作るなら、マスク以外に何が必要?
自宅でマスクへ低酸素の空気を送る方式を選ぶ場合は、ジェネレーターだけでなく、空気を送る経路や酸素濃度の確認方法まで含めて製品構成を見ることが必要です。セット内容は製品によって異なります。
ジェネレーター・ホース・マスクなど、製品ごとの構成を確認する
マスクへ直接送気する家庭用システムでは、低酸素ジェネレーター、空気を一時的にためるバッファバッグ、接続ホース、専用マスクなどを組み合わせる例があります。酸素濃度を確認する機器がセットに含まれる製品もあります。
一方、テントへ低酸素の空気を送る方式では、マスクを使わない場合があります。そのため、購入ページでは「本体だけ」「マスク付き」「テント付き」など、何が含まれているのかを一つずつ確認すると不足を防げます。
家庭用機器の利用例では、エアロバイクやトレッドミルなどと組み合わせる方法があります。初めて運動を組み合わせる場合は、使用する機器の条件を確認したうえで、操作や動き方が分かる運動から始めると強度を調整しやすくなります。
酸素濃度の設定方法と確認方法を見る
家庭用機器を比べるときは、どこで酸素濃度を設定するのか、設定した濃度をどう確認するのか、取扱説明でどの範囲の使用が想定されているのかを見ます。数値を細かく変えられる機器でも、低いほどよいわけではありません。
酸素濃度の設定範囲や連続使用時間などは製品ごとに異なります。そのため、自宅用機器について一律に「○分行う」と決めず、使用する製品の取扱説明や使用条件に合わせて判断します。
購入前には、価格だけでなく「必要な付属品」「設定方法」「確認方法」の3点まで確認しておくと判断しやすくなります。
購入・レンタル・施設利用は、使い方に合わせて選ぶ
家庭用の低酸素機器は購入だけでなく、レンタルという選択肢もあります。最初から所有する必要があるかは、利用したい期間や自宅に置けるスペース、必要な付属品まで含めて考えると決めやすくなります。
自宅で繰り返し使うなら、購入とレンタルを比較する
継続して自宅で使いたい場合は、本体価格やレンタル料金だけでなく、マスクなどの付属品、返却条件、設置スペース、保管場所も確認します。家庭用機器には小型のものもありますが、サイズや重量は製品によって差があります。
「まず何度か試したい」「自宅で使い続けるかまだ決めていない」という段階なら、レンタルや施設利用を比べてから購入を考える方法もあります。
一度試したいなら、低酸素ルームを利用する方法もある
家庭用機器をそろえる前に、低酸素環境で運動するとどのように感じるのかを確かめたい場合は、施設の低酸素ルームを利用する方法があります。自宅へ機器を置かずに試せるので、購入の必要性を考える材料にもなります。
施設ごとに設備や利用条件は異なるため、利用前に公式情報を確認してください。
LIFIX GYMでは、公式サイトで標高2,000〜3,000m相当と案内している低酸素ルームを設置しています。低酸素ルームの料金は、1か月使い放題5,500円(税込)、または10分550円です。利用時間など最新の利用条件は、公式サイトでご確認ください。
自宅用機器を買う前に低酸素環境を試したい方は、施設利用も比較材料にしてみてください。
LIFIX GYMの低酸素ルームで行う運動例を知りたい方は、低酸素ルームの使い方の記事も確認できます。
自宅で使うときは酸素濃度を自己判断で下げすぎない
低酸素環境は「きついほどよい」と考えず、製品が想定する使い方と自分の体調を優先します。特に自宅では、研究や他人の設定値をそのまま自分へ当てはめないことが大切です。
他人の酸素濃度やSpO₂をそのまま自分の目標にしない
低酸素への反応は、体力、運動経験、その日のコンディションなどによって変わります。同じ酸素濃度でも感じ方が同じとは限りません。
パルスオキシメーターでSpO₂を確認できても、それだけで低酸素環境の安全性をすべて判断できるわけではありません。ネットや論文で見た値を目標にして酸素濃度を下げるのではなく、使用する機器の説明に沿って利用します。
強い息苦しさ・めまい・吐き気・胸の違和感などが出たら中止する
運動中に強い息苦しさ、めまい、ふらつき、吐き気、胸の違和感、しびれなどが出た場合は、その場で運動を中止します。違和感が続くときは、必要に応じて医療機関へ相談してください。
持病がある方、医師から運動を制限されている方、体調面に不安がある方は、自己判断で低酸素環境を利用せず、事前に医師へ相談してください。
自宅で使う前に確認したいこと
・酸素濃度を自己流で必要以上に下げない
・製品の使用条件や接続方法から外れた使い方をしない
・体調に異変があれば数値にかかわらず運動を中止する
自宅の低酸素トレーニング・マスクについてよくある質問
Q.
普通の不織布マスクを着けて運動しても低酸素トレーニングになりますか?
不織布マスクを着けることは、酸素濃度を調整した低酸素環境を作る方法とは異なります。呼吸のしやすさが変わることはありますが、低酸素トレーニングを目的に酸素濃度を設定する機器ではありません。
Q.
低酸素ジェネレーターは部屋全体を低酸素にする必要がありますか?
部屋全体を低酸素にする方式だけではありません。家庭用には、ジェネレーターからホースで専用マスクへ直接送る方式や、テントなど限られた空間へ送る方式があります。製品ごとに構成が違うため、利用したい方法に合うものを確認してください。
Q.
低酸素トレーニング用マスクは、別メーカーのジェネレーターにもつなげられますか?
接続できるかは製品ごとに確認が必要です。マスクやホースの接続方法、対応する付属品は製品によって異なるため、手元にあるマスクをそのまま使えると考えず、メーカーが案内する対応機器や接続方法を確認してください。
まとめ|自宅で低酸素トレーニングをするなら、マスクの名前より仕組みを確認する
自宅でも低酸素環境を作る方法はありますが、「低酸素マスク」という名前だけでは仕組みを判断できません。マスク単体で呼吸に抵抗をかける製品と、ジェネレーターで作った低酸素の空気を吸うための専用マスクは分けて考えます。
家庭用機器を検討するときは、自分が求めているのが呼吸抵抗なのか、酸素濃度を調整した環境なのかを先に決めると選択肢を絞れます。購入を急がず、レンタルや施設利用まで含めて比較しても構いません。
・マスクを選ぶとき:単体で使う製品か、ジェネレーターへ接続する製品かを確認する
・自宅で低酸素環境を作るとき:本体だけでなく、製品ごとに必要な付属品や接続方法まで見る
・初めて試すとき:低い酸素濃度を目標にせず、機器の使用条件と体調を優先する
・購入を迷うとき:レンタルや低酸素ルームを利用してから必要性を考える方法もある
まずは、気になっているマスクの商品ページで「酸素濃度を調整する機器につなぐのか」を確認するところから始めてみてください。

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